「JIS規格の履歴書」はもう存在しない

長年、日本の履歴書の事実上の標準とされてきたのが「JIS規格様式」でした。ただし正確に言うと、JIS Z 8303(帳票の設計基準)という規格そのものが履歴書の書式を定めていたわけではありません。規格に付属する「解説」のなかに参考例として履歴書の様式が載っていた、というのが実態です。

この様式例は、性別欄の記載方法などをめぐって当事者団体から見直しを求める署名(約1万人分)が提出されたことを受け、日本規格協会が2020年7月に公式サイトから削除しました。つまり2026年現在、「正式なJIS規格の履歴書」という書式は存在しません。書店やネットで「JIS規格準拠」と書かれたテンプレートが流通していますが、それらは廃止された旧様式を踏襲した民間の書式です。

2026年の標準は厚生労働省様式

JIS様式例の廃止を受け、厚生労働省は2021年4月に「新たな履歴書様式例」を公表しました。EXCEL版とPDF版の2形式が各労働局のサイトから無料で配布されており、2026年時点では転職・新卒サイトのテンプレート集でもこの様式を既定として扱う構成が主流になっています。

旧様式から削除された4項目

厚労省様式では、公正な採用選考とプライバシー配慮の観点から次の4つの欄が削除されました。いずれも本人の適性・能力とは関係が薄い情報です。

  • 通勤時間
  • 扶養家族数(配偶者を除く)
  • 配偶者
  • 配偶者の扶養義務

あわせて性別欄が、男女を丸で囲む選択式から任意記載欄に変更されました。記入するかどうかは応募者の判断に委ねられ、空欄のまま提出しても差し支えありません。


様式タイプの比較

主な履歴書様式の違い(2026年時点)
様式性別欄扶養家族・配偶者欄通勤時間欄現在の位置づけ
JIS旧様式(参考例)男・女の選択式ありあり2020年に削除・廃止
厚労省様式(2021年4月)任意記載なしなし事実上の標準
転職者向け様式任意記載が主流なしが主流なし職歴欄が広い
アルバイト・パート向け任意記載が主流なしが主流欄がある場合も希望シフト欄あり

迷ったときの原則はシンプルです。応募先から様式の指定がなければ厚労省様式を選び、指定があればそれに従う。これで大半のケースは解決します。

応募先の 様式指定を確認 指定あり → その様式を使用 指定なし → 厚労省様式 入力・誤字確認 写真を配置 PDF変換・改名 履歴書_氏名_日付
図1: 履歴書フォーマット選定から提出までの流れ

手書きとパソコン作成、どちらを選ぶか

「履歴書は手書きでないと失礼」という考え方は、少なくとも中途採用の現場では過去のものになりつつあります。2025年にマイナビ転職が中途採用担当者352人を対象に行った調査では、パソコン作成を好むとの回答が46.9%で最多、手書きを好むとの回答は23.3%にとどまりました。「どちらでも良い」が29.8%あった点も見逃せません。

実際の応募者側の行動も同様の傾向です。転職経験者774人へのアンケートでは、パソコン派が63.4%、手書き派が36.6%という結果が報告されています。

パソコン 46.9% 手書き 23.3% どちらでも 29.8% 出典: マイナビ転職 2025年調査(中途採用担当者352人)
図2: 中途採用担当者が好む履歴書の作成方法

ただし新卒採用やアルバイト応募では手書き指定が残っている場合もあります。募集要項に指定があればそれが最優先です。履歴書メーカーのようなツールで作成すれば、修正や使い回しが容易で、誤字の修正のたびに一から書き直す必要もありません。

PDF提出での実務的な注意点

電子提出が求められる場合、WordやExcelで作成したものをそのまま送るのではなく、PDFに変換してから添付するのが基本です。相手の環境によるレイアウト崩れを防ぎ、内容が意図せず書き換わることも避けられます。

意外と差がつくのがファイル名です。scan001.pdfのような未加工の名前で送ると、多数の応募書類を扱う採用担当者の手元で埋もれてしまいます。履歴書_山田太郎_20260720.pdfのように、書類種別・氏名・日付を含む形に統一しておきましょう。

用途別の書き分け

新卒では学歴・志望動機・自己PRが評価の中心になるため、それらの欄が広い様式が向きます。転職では職歴欄の充実した様式を選び、詳細は職務経歴書メーカーで別紙にまとめるのが一般的です。パート・アルバイトでは勤務可能日や希望シフトを書く欄があるものが実用的です。

履歴書に貼る証明写真は、AI証明写真メーカーで規格サイズに合わせて用意できます。在職中の転職活動では、退職の申し出時期にもマナーがあるため、退職届テンプレートで書式と提出タイミングをあわせて確認しておくと段取りがスムーズです。